「対談 現代の争議生活者を語る」より 9
山口 そういう中で、会社が目をつけたのがパイロットの年間の
乗務時間制限の延長なのです。会社はパイロット不足を補うために、
年間に九百時間だった制限を、九百六十時間に延ばしました。一人
当たり六十時間延ばした効果はどのくらいかといいますと、在籍の
パイロット数の二千人で計算しますと、機長六十人、副操縦士六十人分
に相当します。このようにパイロットの稼働を上げて現在の運航は
行われているわけです。パイロットには特有な疾患があります。不整脈
や腰痛。冬場は航空性中耳炎などです。最近では稼働が上がって健康を
害して、常時七十人前後に航空身体検査証明が出ない状態が続いて
います。航空身体検査のライセンスが出なければ乗務できません。
ですから人員配置はぎりぎりで、病気など不測の事態への対応が難しく
なっています。体調不良で無理に乗務することがあってはなりません。
今年の株主総会でも、株主から事業計画について指摘がありましたが、
事業計画については経営内でも意見が分かれているのではないでしょうか。
(続く)