「時の行路」映画 製作・上映推進会議のブログ

このブログは、田島一さんの『時の行路』『続 時の行路』『争議生活者』(新日本出版社)原作の映画「時の行路」に関するブログです。映画「時の行路」ついに完成しました。スタッフ 企画・中西繁 音楽・池辺晋一郎 脚本・土屋保文・神山征二郎 監督・神山征二郎 2020年公開。全国で30万人動員目指して頑張りましょう!                          公式ホームページは、https://www.tokinokouro.kyoudo-eiga.co.jp

「時の行路」上映運動経験交流誌 7    

 今回は、撮影現場の三島からの報告です。「推進会議を立ち上げるまで」と上映会の取り組みと2部構成になっています。是非、参考にしていただければと思います。

静岡県三島市での上映

 

その1

静岡支部設立と完成試写会まで   

三島上映実行委員会 事務局 髙橋千惠子

 

映画「時の行路」の映画化が具体的になり、初めてこの映画の上映運動を知ることができました。ロケ地が三島、沼津、伊豆の国に決定し、ロケの拠点が地元「伊豆の国アートビレッジ」となりました。しかし、残念なことにその時点で、静岡には推進会議の組織がなく、ゼロからの立ち上げをしなければならない状況でした。

働き方改革」の名のもと劣悪化される労働問題。とりわけ、労働環境が悪化して、非正規で働くことが当たり前になろうとしている日本社会の現実に、真正面から取り組み、『人間らしく働くことはどういうことか』と問題提起しているこの映画のタイトルには、心を揺さぶられるものがありました。私自身、「結婚しても子どもを産み育てながら働き続けたい」と、職場の仲間と共に労働条件の改善、働く者の権利要求の闘いをしてきました。映画の主人公が大量首切りで職場を追い出されてしまう理不尽さに、悔しさと怒りがこみ上げました。仲間を信じ、ともに立ち上がる主人公の姿と、家族との葛藤を、全国の皆さんと共有したいと思いこの運動に関わることにしました。さっそく、2018年10月、アートビレッジのサポーターを中心に声をかけ、上映推進会議の設立に向けて準備を始め、11月には静岡支部の立ち上げとなりました。

映画製作では、私たち現地の推進会議はロケ地ということで、エキストラの手配を任されました。短期間で手分けして各自、繋がりを頼りにエキストラを探し、日程表を埋めていく日々が続きました。特に、裁判シーンでの100人のエキストラの動員は苦労しました。長時間にわたる撮影は予算が限られているとの理由で、撮影現場で働く若いスタッフの厳しい労働条件の実態を見ることもできました。クランクインした5月27日から6月10日まで無事に撮影が終了し、私たちは責任を果たすことができました。振り返れば、言葉では語れないほどのシーンが思いだされますが、みんなで力を合わせ精一杯頑張ったこと、沢山のエキストラとの繋がりが、後の完成披露試写会、三島上映会の成功に結びついたとの確信をしています。以下、静岡支部の設立と活動、完成披露試写会までの報告をいたします。

 

〈2018年〉

◎11月16日  参加者12名

  映画「時の行路」映画製作・上映推進会議 静岡支部の設立

 ・規約の検討

 ・役員選出

 ・アートビレッジにおけるシナリオ検討合宿の支援について

◎12月13日  参加者11名

 ・規約の提案及び承認

 ・シナリオ検討合宿の報告

 

〈2019年〉

◎1月18日  参加者10名

 ・映画製作のスケジュールの確認

 ・神山征二郎監督の作品上映会の計画

 ・広報活動

◎2月16日、17日  「郡上一揆」上映会

  神山監督を囲んで懇談

◎2月17日

 ・「郡上一揆」上映会の報告

 ・広報活動

 ・協力者及び協力団体への要請文作成

◎3月9日

 ・推薦人15名が載った新しいリーフを1,000枚作成し、製作賛同者を拡げる

◎4月2日、16日

 ・映画の製作担当者とロケ地の下見案内

◎4月18日

 ・伊豆の国市市長との面談(神山・中西・髙橋)

◎4月23日

 ・この間の取り組み報告

 ・製作協力券の到達度

 ・地元メーデーでの訴えについて

 ・エキストラ募集について

◎5月1日

 ・沼津・三島の地域メーデーにて訴え。横断幕・手描きの揃いのTシャツで宣伝

◎5月27日~6月10日(映画の撮影期間)

 ・映画製作のエキストラ担当者と常に連絡をとりあい、エキストラの確認と手配

 ・推進会議のメンバーもエキストラとして協力。アートビレッジ宿泊スタッフの激励

◎11月30日

 ・映画の完成披露試写会の取り組みについて

  試写会の目的、対象者、案内状、当日のスケジュールについて具体化

◎12月22日

 〈完成披露試写会〉

   場所;韮山時代劇場 映像ホール

   時間;13:45 主催者挨拶

     ;14:00~16:00 映画上映、終了後感想、意見交換30分

★会場の定員は100名で椅子は80脚。入場者140名余。市長はじめ市の関係者、エキストラ、賛同者、ロケ地での協力者、NHK、地元の新聞社など、立ち見多数。アンケートには感想が沢山寄せられた。当日の夕方と翌日の朝のNHKニュースで放映され、地元の新聞でも一面に報道された。来場者の反応も良く試写会は大成功だった。このまま、一気に上映会というところであったが、コロナの感染拡大で意気消沈してしまう。コロナ禍で上映会は中断となってしまいとても残念であった。

        

その2

三島上映会報告

                         三島上映実行委員長 縣 政四

 

一昨年5月から6月にかけ静岡県三島市を拠点に撮影された「時の行路」、一昨年12月22日に参加予想を越えた百数十人が参加し現地試写会が開かれました。次は一般上映会を計画しようと思ったときは、コロナで動きが取れない状況に。撮影現地として何とかせねばと焦るばかり。悶々とした日々を過ごす中、偶然にも、11月末に三島の平和団体核兵器をなくし平和な三島をつくる三島市民の会主催の「集会&ライブコンサート」がコロナ禍で中止になるかもとの話が飛び込んできました。8月中にその結論が出され、もし中止になった際は上映会場に譲って頂けるとの約束を頂き、その結論を待つことになりました。8月末、その催し物の中止を確認。以下準備会開催から上映会当日までの経過報告を致します。

 

1.9月9日 上映準備会開催 上映日11月28日 三島市民文化会館 小ホールにて

 

  1昨年撮影時、地元サポーターとして中心的役割を果たされてきた高橋千惠子さん、共同映画社関係者の方々などアートビレッジに集まり、今後の進め方等についての話し合いが行われた。第一回実行委員会を同月23日に開催。主にエキストラとして協力して頂いた方を中心に実行委員を人選し第一回実行委員会に出席して貰う。上映会の計画案を作成し実行委員会に提案する。上映会まで3か月弱の短期決戦なので成功のカギは実行委員会のまとまりにかかっている。因みに、準備会時点では収容人数355人の会場は50%制限ありましたが、その後解除され助かった。 

 

2.第一回実行委員会(9月23日)

  ①上映会開催についての経過報告。

  • 上映会日程及び上映回数、午前・午後・夜間の3ステージを提案=>決定
  • 入場料(前売券1200円・当日券1300円・学生券800円)の提案=>決定

④チラシ 12,000枚、後日5000枚追加。チケット2,000枚、ポスターはチラシを拡大利用。

早急にチラシ、チケット作成する。>ラクスルに注文。

  • 上映に必要な諸経費産出(チラシ・ポスター・チケット印刷代、会場費、監督への 

謝礼、

  • 上映技術料、上映機器使用料、製作費分担金(製作委員会への支払い)等、

  ⑥入場者目標設定 800人に決定(前売券、当日券、製作協力券の合計人数)

  ⑦当日まで2週毎に実行員会開催を決定。

  ⑧実行委員会での係の選出(実行委員長、事務局長、会計、宣伝、その他)

  ⑨当日のスケジュール&要員案提案

  ⑩映画にエキストラとして出演したけれど、12月の試写会に参加出来なかった実行委員らの皆さんの為に”サンプル用DVD”による臨時試写会を開催する事を案内。(10/9,10/10)

 

3.第三回実行委員会(10月12日)

     ①チラシ完成=配布先毎に仕分け、其々の担当者が届ける。静岡県東部のすべての市町村

の日曜版・日刊紙に折り込。

     ②チケット配布=チケット販売の協力依頼団体及び協力依頼者を上げ、その担当者は配布からチケット代回収まで責任もって行う事。

   ③当日の要員確保。(1ステージに14人要員必要。3ステージで延べ42人必要)要員としてお願いできる人を上げておく。コロナ禍で通常より多くの要員が必要。

     ④コロナ禍での感染防止策として、検温の為の器具の設置、連絡先カード(名前・住所・連絡先)の作成、座席の除菌作業、半券は入場者が切り離し箱に投入等を確認。

     ⑤地元新聞社に上映会お知らせの記事を掲載依頼。沼津朝日、伊豆日日新聞、静岡新聞

 

4.第四回実行委員会(10月26日) 

三島市の後援を取得。三島市の施設にチラシ・ポスターの依頼ができる。(決算報告必要) ②入場者が2回目(午後のステージ)に集中し定員(355名)オーバー防止策として第二会場(会議室)を設け上映する。プロジェクター、スピーカーの用意をする。

③製作協力券の取り扱いの確認、前売り券との関係で若干問題発生。

④上映会一か月前の会館との打ち合わせ。除菌方法・検温用カメラ等などについて。  

⑤前売り券販売があまり進んでいない。改めて、「時の行路」の上映の意義について話し合う。

   新たに加わった実行委員が独自に横浜ゴム三島工場門前での「声掛けチラシ撒き」を行いそれなりの反応が返ってきたという報告された。最初、‘そこまでやる?’との意見も有りましたが、最も観て欲しい人達に知らせる近道だし、我々の思いを伝えられるベストな方法と思い、実行委員会主要メンバーも加わり「声掛け門前チラシ撒き」を大手企業門前等で計画。三島駅頭での早朝チラシ撒き、三菱アルミニウム裾野市)、芝浦機械沼津工場(沼津市)、2度目の横浜ゴム三島工場、長泉町工業団地内の工場門前等で行いました。特に、横浜ゴム三島工場労働者から、”オレ観に行くよ!などの返事が返ってきたり、芝浦機械沼津の働く仲間からの好意的反応にも励まされる場面が沢山ありました。

 

5.第五回実行委員会(11月9日)

①徐々にチケット販売実績が上がってくるが、採算点まではほど遠い状況。

②先日の駅頭チラシ撒き宣伝、三島商店街でのポスター貼り、近隣大手企業の門前などでのチラシ撒き宣伝活動の報告。この行動は、実行委員会を大いに励ます結果になりました。

③上映時のアンケート作成、記入用クリップペンを取り付ける為、購入する。

④当日の表看板の作成(実行委員の一人に依頼)・各表示板の準備確認。  

⑤当日の要員の最終確認、

⑥パンフィレット販売も実施する。

⑦当日神山監督のご挨拶を頂く、それなりの入場者で迎えたいで意思統一された。

 

6.第六回実行委員会( 11月23日) ”公演を控え最後の実行委員会”

①チケット販売状況の確認。採算点まで到達確認。

②当日の要員作業内容含む最終確認。特にコロナ禍での除菌作業等。特に、劇中「合唱団」として登場した三島どんぐり合唱は、全員要員として参加しました。

 

7.上映会結果報告及びまとめ

①一回目 前売券+当日券=221名、協力券+賛同券=78名、合計299名

二回目 前売券+当日券=178名、協力券+賛同金=60名、合計238名

三回目 前売券+当日券= 39名、協力券+賛同金=34名、合計 73名

合計  前売券+当日券=396名、協力券+賛同金=172名、合計610名

②当日の入場者は、610名、チケットは購入したけれど方が154名あり、結果的に組織としては、合計764名の方が協力してくれた事になり、目標として掲げた800名に近い成果で大成功と総括致しました。2~3週間前の時点ではこの結果は想像が付かないくらい厳しいものでした。最終版での追い上げは、矢張り出演者(勿論エキストラですが……)としての強み、この映画の素晴らしさを知り尽くした各実行委員の「何としても成功させよう」という決意の結果と思いました。映画に出演した合唱団員も、平均10枚以上販売し、大きな力になり、当日の要員としても全員参加してくれました。

③公演終了を境にコロナの第3波が始まり、実にタイミングの良い時期の開催でした。

④来場者の半数近くの259名の方がアンケートを寄せてくれました。映画がハッピーエンドでない事に不満を覚えられた方もおりましたが、殆どの方が自分たちの問題として捉えられての感想でした。素晴らしい作品との評が殆どでした。

⑤コロナ禍での公演で、会館が収容人数100%OKでも、コロナ禍ではその対応に不満を覚える方も何人かおられ、“蜜すぎ”と会場を去っていった方が一人おりました。

 その為に第二会場を設けてありましたが、結果的にそちらを利用いただけませんでした。

⑥取組みでの問題点としては、映画の内容的には地元の労働組合を巻き込んでの取り組みが必要でしたが、それ以上に工場門前での「声掛けチラシ撒き」は直接労働者に訴えかけた点では、大変貴重な経験が出来た事、更に‘俺観に行くよ’と声を返してくれた労働者が当日会館に足を運んでくれた事は逆に私たちが励まされました。

 

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