「時の行路」映画 製作・上映推進会議のブログ

このブログは、田島一さんの『時の行路』『続 時の行路』『争議生活者』(新日本出版社)原作の映画「時の行路」に関するブログです。映画「時の行路」ついに完成しました。スタッフ 企画・中西繁 音楽・池辺晋一郎 脚本・土屋保文・神山征二郎 監督・神山征二郎 今春(2020年)公開。全国で30万人動員目指して頑張りましょう!

「時の行路」上映運動経験交流誌 6    

 今回は、シネマリンでの上映を成功させた「神奈川での経験」を報告します。

是非、参考にしていただければと思います。

 神奈川県での上映        神奈川上映実行委員会  瀬谷昇司

 

はじめに

2020年10月10日より11月6日まで4週間、横浜シネマリンでロードショーを行った「時の行路」は、観客動員1668人、興行収入189万2500円で成功をおさめることができました。これは、新型コロナウイルスの感染拡大の3波が来襲する前の興行という幸運にめぐまれたとはいえ、作品のもつ力に加え、実行委員会をつくり前売り券の普及、映画の宣伝を最後まで貫いた結果です。1回平均の観客動員は、第1週が24人、第2週39人、第3週48人、第4週103人という数字にも表れています。この数字の伸びがなんであったのかをあらためて考えたいと思います。

 

 実行委員会をつくり、前売り券普及は映画が終わるまで

さて、実行委員会の運動ですが、2019年11月に試写会を開催し、約70人が入りました。その後、横浜シネマリンでロードショーが7月4日から31日までと決まっていたのですが、コロナ禍で10月に順延しました。7月1日からポスター200枚を使い宣伝し、前売り券を発売しはじめました。実行委員会ニュースは10号まで発行しています。55に上る団体・個人が前売り券普及所なり、9月30日までに463枚を普及しています。重要なのは映画が始まっても前売り券を普及し、宣伝とあいまって最終日の11月6日までに715枚普及しました。前売り券の集金でわかったことですが、前売り券の普及は1000枚を超えていました。最後まで、前売り券の普及を握って離さず、実行委員会が力をつくしたことが最後の1週間の観客動員の爆発につながりました。大変な苦労をしましたが、前売り券の普及枚数の実数を、事務局会議で明らかにしました。そうすることによって、実行委員会事務局が引き締まり、ここには、この人にあたって普及してもらおうなどと、手を打つことができました。

 

 ロードショー中に宣伝のピークが来るように

 もうひとつは、映画が始まる2週間前から一気に宣伝を強めたことです。宣伝は、しんぶん赤旗折り込みが4回4万2700枚に上りました。さらに、しんぶん赤旗首都圏版に10月6日の神山征二郎監督舞台あいさつ記事、10月28日に板倉三枝子記者の神山征二郎監督インタビュー記事が掲載され、横浜シネマリンでの上映のお知らせが載りました。残念ですが、一般紙への掲載は、朝日、東京、神奈川、TV神奈川にお願いしましたが、掲載されませんでした。折り込みは、ロードショー2週間前に公式に作られたチラシ。二回目は映画の案内です。三回目は神山征二郎監督インタビューです。4回目は若者の鑑賞後のインタビュー記事です。神山監督インタビューは、「映画では、争議の裁判の結果は敗訴だ、あんまりだ」という声にこたえたものです。神山監督自身に「日本の厳しい現実、それを乗り越えていく者がいるのだ。単なる勝つた負けたという問題ではなく、生き方の問題として描きました」と語ってもらいました。3回目の若者へのインタビューは「若者は見ない」という声に若者の映画評という事実でこたえたものです。それぞれ、観た人の特徴的な声からインタビューしました。それによって、映画について、しんぶん赤旗読者や労働組合で「話題」になりました。会議でよく映画のことが話題になっていたことが、後で分かりました。話題になれば、観た人がSNSで載せる、データを配信した団体もそれに続くというように広がっていきました。若者が共感する映画ってなんだろう、そんな思いをシニア世代に抱かせたあたりが最終盤の観客動員につながりました。

 

若者が感じた現実が映画の中に

 映画の観客はシニア世代が多かったのですが、20代、30代の若い世代から「労働組合を作って連帯していくところに共感した」「主人公の葛藤がよく描かれている」「非正規を物のように扱うのは映画の言う通りおかしい」と高い評価を受けたのは、神奈川上映実行委員会としても望外の喜びでした。鑑賞した若者たちへのインタビューで、「『時の行路』の評価は☆いくつか」と率直にたずねると、「☆4つ(☆5つ満点)は確実にある」と高得点を下してくれました。特に若者が一様に「温かい映画だ」とのべたのは意外でした。試写会を観たシニア世代からは、主人公が妻の死に目にも立ち会えずにたたかい、裁判も負けるというストーリーの厳しさばかりに目を追われ「あんまりだ」という声が少なからずあったからです。

若者インタビューの際には、どんな答えがはね返ってくるのか私もドキドキでした。しかし、若者は仲間の連帯や家族の絆、夫婦の愛情に着目していました。これは、映画館に足を運んだ若者が実行委員の懸念よりずっと先に現実を体験していたからではないでしょうか。一人ひとりがばらばらにされ、自己責任論に縛られ、非正規雇用が働く職場に身を置き、またシングルマザーの辛さなどを肌で感じているからです。コンピュータ会社に勤めていた人は「有能な派遣社員の手取りが自分の6割と聞いて、矛盾を感じていた」、シングルマザーの人からは「映画の中でシングルマザーの子どもが熱を出して、働けなくなるあたりから涙がとまらなかった」。年功序列の日本的経営の中で育ったシニア世代とはおおきな隔たりがあります。若者世代は、厳しい中に連帯があり、家族愛がある、だから温かいと感じたのでしょう。シニア世代も試写会とロードショーの二度目を見て、「2回目の方が、家族が主人公のたたかいの意味を実感していく過程が心に響き、裁判で負けたということは1回目ほどこうあってほしいというストーリーへの願望が気にならず、泣けた」という声を何人ものひとから聞きました。今、若者による若者のための「時の行路」上映会をしたいという声が上がっています。「時の行路」神奈川上映実行委員会もこの声を大切にして、さらに各地で上映会を開いていきたいと思います。 

 

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