映画「時の行路」の完成試写を観て―― 脚本・土屋保文
原作者・田島一氏に続いて、脚本を担当してくださった土屋保文氏かららも、映画「時の行路」への思い、感想を書いていただきました。
この作品には、2本の大きな柱があります。
主人公・五味洋介と家族の愛の物語。もう一つは洋介と仲間たちの連帯の物語です。
前者に重きを置くと通俗的な人情噺に陥り、後者に重きを置くとプロバガンダ色の強い退屈な作品になってしまいます。
脚本作りで一番苦労したのは、この二本の柱のバランスの取り方でした。
それが、うまく行ったのか……完成試写を観るまで不安でしたが、途中から脚本作りにも参加いただいた神山監督とスタッフ、キャストの皆さんのおかげで、二つの柱は互いに共鳴し合い、名もなき弱者の怒りの声として観客の胸に突き刺さる作品に仕上がっていました。
試写室で一人の観客として観て感動しました。ありがとうございます!