小林多喜二没後85年シンポジウム~「しんぶん赤旗」(4/11 「朝の風」より)
3月31日に民主文学会と多喜二・百合子研究会がひらいた小林多喜二
没後85年シンポジウムのオープニングに、多喜二が好きだった曲として、
ブラームス「日曜日」、ゴダール「ジョスランの子守歌」、チャイコフスキー
「アンダンテ・カンタービレ」の3曲が弦楽三重奏で演奏された。
司会が、ケイ・シュガーさんのCD「多喜二の愛した音楽」を参考に曲を
選んだと紹介していたが、「日曜日」は高野辰之が作詞した「折ればよかった」
として、当時とてもはやった歌で、七沢温泉福元館に多喜二が滞在して、「オルグ」
という小説を書いた時にお風呂でよく歌っていたことが知られている。
第1節は「折らずに置いてきた山かげの小百合、人が見つけたら手を出すだろう、
風がなぶったら露こぼそうもの、折ればよかった遠慮が過ぎた」だが、田口タキ
に結婚を申し込んで断られたことへの思いが込められていたのだろう。
参加した19歳の若者が、「多喜二の文学は政治と癒着していると思っていたが、
多喜二は文学を芸術として見ていて、そうでなければ人の心に届かないということが、
僕にとって『革命的発見』だった」と述べていたが、シンポジウムと共に、この
演奏が多喜二の芸術性の理解につながったように思う。(築)