参院予算委員会中央公聴会での中原のり子んの陳述を紹介します。
政府が進める「働き方改革」において、不誠実なデータ問題が象徴
するように、多くの問題点が明らかになりました。
労働時間の上限規制がなぜ月100時間なのか、理解できません。
厚生労働省によれば、脳・心臓疾患に関わる労災支給決定の半数以上
は、月100時間未満の時間外労働で起きています。
除外業種・職種が広範囲に存在しているのも問題です。建設、運輸、
医師、教師など、とりわけ長時間労働による過労死が問題になっています。
高度プロフェッショナル制の強行は、過労死遺族に対する裏切りです。
時間外規制を外し、残業という概念自体をなくすものです。あらかじめ
決められた額しか支給しない固定賃金制度です。
対象業務も定まっていません。デイーラー、アナリストなどが例示されて
いますが、一度成立すれば国会審議をへず、簡単に拡大する危険があります。
年収1075万円以上の一部高所得者が対象といいますが、それも最初だけです。
ホワイトカラー・エグゼンブションの際、経団連は「年収400万以上が望ま
しい」としています。
健康悪化の歯止めもありません。18年1月に新潟県で起きた過労死事案は、
保健師に相談した翌日に亡くなっています。
「高度の専門職」という規定では、30~50代の専門職・管理的職業従事者
が該当します。この年齢層のホワイトカラーでは過労死・過労自殺が多発
している実態があります。
小児科医だった夫は1990年に長時間労働が原因でうつ病を発症、自殺しま
した。小児科医は天職と自負していた夫が、亡くなる前には「誰からも感謝
されない、くだらない職業だ」と言い残し、社会に絶望して亡くなりました。
こんなに苦しい思いをするのは、もう私たちだけでやめていただきたい。
政府は(「働き方改革」一括)法案提出を取り下げ、実効性ある過労死
防止対策に時間を費やしてください。